元日に発災した能登半島地震。能登の伝統産業にも大きな被害が出ています。
珠洲では珠洲焼、輪島では輪島塗など、よく知る工芸品以外にも多々あると思いますが、早く元のようになることを祈っております。
我が家には輪島塗の食器が何点かあります。輪島塗は手入れが難しいイメージがありますが、それほどでもなく、ハレ以外の日常遣いでも活躍してくれています。
さて、輪島塗の作家さんの中にも有名な方がいらっしゃいます。そのお一人が塗師の赤木明登さん。文筆家や美食家でも知られていて、また、妻の智子さんもエッセイストとして著名です。
そんな赤木明登さんが昨年輪島市の山中、旧門前町エリアにオープンしたのが日本料理オーベルジュ「茶寮 杣径」。
建物は著名な建築家中村好文氏が手掛けていて、一日一組だけの宿泊者を受け入れています。赤木明登さんの輪島塗などの器と、地元の食材を使った日本料理という贅沢な組み合わせを楽しむことが出来るオーベルジュとして知られていました。
しかし、ご存じの通り地震による被害で現在は営業休止になってしまい、そんな中、手を差し伸べたのが彦三町にあるお茶屋Bar「金沢 紋」です。
ちょうど貸し切り営業になっていたことから、3月31日まで「茶寮 杣径(そまみち)」の味を「金沢 紋」の素敵な空間で味わうことが出来るという期間限定コラボが実現したわけです。
ちなみに期間については復旧までの仮営業といことで4月以降も延長になっているかもしれません。お店の方の確認を。
今回、赤木智子さんのファンでもある我妻が、ハレの日を祝うためにディナーをご馳走してくれるということで、こちらを予約してありました。
建物は300坪の敷地に明治時代に建てられた一軒家。内部は素敵にリノベーションされています。
中に入るとギャラリーになっていて、赤木明登さんの作品を見ることが出来ました。
そして2階が、元々カフェだったスペースで、そこを使って料理を楽しむことが出来るようになっていました。
「茶寮 杣径」の料理長は小松市出身の方。私は10年半ほど前に金沢木倉町で彼がやっていた「六味一滴」というお店に行ったことがあります。
窓からは立派な庭と浅野川。
こちらの方には主計町や浅野川大橋を望むことが出来ました。
ただ、ある意味間借りのスペースだったので、サービス面ではやりにくさを感じました。
では、この日の料理と飲んだお酒について紹介していきます。
最初の一杯がお店のサービス。こちらの日本酒が出されました。
私は最初の一杯はビールがいいと思い注文。
まず出てきたのが先付けで、イイダコと紅芯大根と、生薬として知られるカンゾウ。
銀杏の生地を極限まで薄く挽き、拭き漆で仕上げてある器で、持ってみると超軽量。もちろん赤木明登さんの作品で素晴らしいです。
イイダコは超柔らかくて滋味あふれる味付けでした。
お造りの1品目は高台の磁器に入れられて出てきました。
ナメラの昆布締め。かぶらとプンタレッラ添え。プンタレッラはチコリの仲間でカタローニャのイタリア野菜の新芽のことです。
上品な昆布締めで、しっかりとした食感のナメラ。白醤油で食べさせてくれています。
お造りの2品目は、朱塗の丸盆に置かれれて出された「タイラギ サヨリの酢味噌掛け」。
椀物はバイ貝酒蒸しで七尾産のもち米を使った玄米餅と菜の花、白いんげん豆が添えられていました。
この後、肴が3品出されます。
最初は「メジマグロのコンフィに葉ニンニク」。脂が乗ったメジマグロにほんのりと燻製の香りづけ。そして紅くるり・イチゴ・ビーツが添えられています。
陶芸家松本かおるさんのレンガのような焼き物の器には「春のとう葉とりどり 富山湾ホタルイカ そら豆」。こんかさばのピュレとリコッタ添えです。
3皿目は肉料理で「牛すね肉の煮込みと熟成じゃがいも ふきのとう」。
禅宗の修行僧が使う応量器のような朱塗りの器に入れられていました。
ご飯は「ガスエビのあられと芹のごはん」。ガスエビの天ぷらが乗せられていて上品な仕上がり。美味しいです。
味噌汁は田舎味噌仕立てで、かじめと青菜が具材でした。
最後のデザートは「いちご 金柑 紅はるか 粒あん」。ハレの日のデコレーション付きです。笑
では、こちらで頂いたアルコールについても触れていきます。
「茶寮 杣径」でのお酒は瓶ビールとワイン、そして能登の日本酒が中心でした。
しかしながら、ご存じの通り奥能登の酒蔵は地震で酒造りが不可能になっているため、安定した入手が難しく、今回は、幸いまだ残っている能登の日本酒を楽しむことにしました。
まずは輪島の白藤酒造の特別純米酒。
こちらは珠洲の数馬酒造の「竹葉」。昨年秋に私もお邪魔したばかりでしたが、現在は白山市の車多酒造の設備で酒造りしていて、こちらがその新しいボトル。特別純米酒です、
最後には、「茶寮 杣径」のオリジナルで赤木明登さんご自身が輪島の白藤酒造と一緒に作った日本酒。生酛作りで特別純米の無濾過生原酒も飲んでいます。
こちらは19度とアルコール度数が高めなので、最後に頂きました。すごく個性があるというかうま味をダイレクトに感じるお酒でした。
洗練された器と料理を、素晴らしい席で愉しむことができたので満足でした。なお、料金は料理のみで一人2万円だったようです。
オーベルジュ「茶寮 杣径」が一日も早く復活されますことを祈っています。ご馳走様でした。
金沢 紋
石川県金沢市彦三町1丁目9-12
TEL 076-234-0153
茶寮 杣径
石川県輪島市門前町内保コ30
※ランチとディナーを提供
予約はこちらのインスタからⅮⅯ
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