本日発売になった「ミシュランガイド北陸2021特別版」。

今回紹介する富山県の立山町に昨年3月にオープンした「Healthian-wood (ヘルジアン・ウッド)」。この中にあるレストラン「The Table」がめでたく星一つを獲得しています。

「Healthian-wood (ヘルジアン・ウッド)」の設計を担当したのは、国立競技場などを設計した著名な建築家、隈研吾氏。

富山県内に、彼の設計した建築物が数件あります。

ここでは紹介しませんが、私は、富山県に限らず、彼が設計した建物、特に飲食店関係のところへ相当足を運んでいます。

「Healthian-wood (ヘルジアン・ウッド)」は、同じ富山にある製薬会社、前田薬品工業株式会社が経営するビレッジ(村)です。

製薬会社として新しいビジネス領域としてメディカルハーブに取り組む象徴として、このビレッジ(村)を計画したようです。
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広大な敷地にハーブ畑と、レストラン棟、ハーブから精油を抽出する工房、特徴的な屋根があるイベント広場などから成り立っていて、それらがウッドデッキで結ばれています。今年夏にはスパと貸し切りサウナホテルが、予定では来年には宿泊施設なども完備する計画になっているようです。

現在ある施設の設計はすべて隈研吾氏が手掛けています。

今回、レストラン棟である「The Kitchen」でランチを食べてきたので、各施設ともども紹介したいと思います。
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まずは「Healthian-wood (ヘルジアン・ウッド)」内の「The Field」という、特徴的な屋根がある、ハーブ園に溶け込むようなイベントスペース
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屋根が傾斜して作られていて、ちょうど解放されている方向には立山連峰を眺めることができるようになっています。
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地面のコンクリート床には、玉砂利の洗い出しに、立山でとれるような溶岩、この屋根に使われている木材の端材などが混ぜられています。
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稲穂のさざ波と立山連峰のゴツゴツした岩を表わすように組まれている木組みなども凝っていて、広大な周辺の景観をも取り込んだランドスケープ・デザイン。さすが隈研吾氏ですね。
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こちらは「The Workshop」というハーブを蒸留し、精油と芳香蒸留水を抽出するアロマ工房です。
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周りにはハーブ園があります。
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ハーブを使ったワークショップなどを期間限定で行っています。
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そして、今回の目的であるレストラン。もちろん隈研吾氏の設計。
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遠くから見る外観は平屋の何でもない建物のように見えます。
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近づいてみると、西日があたる外壁は、断熱効果があがるように、近くの田んぼで栽培されたお米の稲わらが充填されていました。
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店内に入ると、立山連峰が見える側は天井が少しせりあがっていて、全面ガラスの開放感のあるダイニングになっています。
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コロナ禍もあって、2人のお客さんはすべて立山が見える側に向かって座る形式でした。消毒や検温、他のお客さんとの距離など、感染対策もしっかりされていました。
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こちらはハーブティ用のバーカウンターです。

なお、ランチの時は「The Kitchen」という名称を使用しますが、ディナータイムには「The Table」という名前に変わります。

そしてシェフの押谷さんは、富山の地の食材に魅せられて、滋賀県から移り住んできた方です。

昨年3月にオープンしてから1年間は、ランチタイムではプレートランチを中心に低価格のランチの設定があったのですが、1周年を迎えた3月からは、夜と同じようにコースのみの設定になっていました。

想像するに、コロナ禍でランチタイムの密状態を避けつつ、利益を上げるためにそうしたのではないかと思いますが、同じコースのみの設定であれば、店名も同じでいいのではないかと思いましたが、余計なお世話?
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メニューは、こちらのコース1種類のみ。税込5,500円と少々高め。アミューズと前菜2種、メイン、デザート、そしてハーブティという構成でした。

最初に全体的な印象を書きたいと思いますが、料理法や味付けはいたってシンプルでした。素材のもつ自然な風味や特徴を引き出すためにそうしているのだと思います。

では出されたものを順番に紹介します。

最初に出されたアミューズは、ハーブ・根菜・山菜・フルーツのサラダ仕立て。
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山菜はコシアブラ。フルーツはカキとグレープフルーツ。そしてスーパーフードと言われているまこもの実。これらの素材そのものの味を楽しむために、味付けは最小限。

前菜の一品目は、「魚介とハーブ」と名付けられたマグロ・ホタルイカ・イワシのカルパッチョのような仕上げ。
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ハーブはフェンネルにイタリアンパセリ。まわいにセロリオイルがかけられています。こちらも上品な風味です。
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イワシはちゃんと中に隠れていました。

2品目は、「豆料理と菜の花」という品で、豆料理は中東料理のフムス。
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富山産大豆を使ったペースト状の料理で、普通ではオリーブオイルを使うのですが菜種油を使っていました。

シンプルな豆そのものの風味を生かした味で、まわりに菜の花とミニトマトがちりばめられていました。

メイン前の3品、冒頭に書きましたが、素材のうまみを大切にしていて、いずれも冷製でシンプルな味付けでしたが、個人的には少し味の変化が欲しい気がしました。
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パンは2種類出されます。
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メインは魚1種類、肉2種類からのチョイス。そのうち「立山放牧牛の熾火(おきび)焼き」は1,320円追加料金が発生します。

私は魚で、この日は「桜鯛のポアレ」。
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ドライトマトの酸味がアクセントになっていました。美味しかったです。

妻は「黒部名水ポ-クロース肉のロースト」。添えられてたのはコシアブラやコゴミなど、立山の山で採ってきた山菜。
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しっかりと食べ応えがあったようですね。

デザートは、2種類から。二人で2種類頼んでシェアしました。
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一つはクレープで、中にはヘルジアンウッド米が入っていて、脇には甘いりんごのコンポートのようなものが添えられていました。
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それほど甘くはなく、珍しい組み合わせです。
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もう一品はクリームブリュレとチーズ、イチゴがちりばめられています。

ドリンクは医学的に効能が証明されているメディカルハーブティー。出されたのにはS-003という番号が付けられていました。
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こちらは、二十四節気の6番目の「穀雨(こくう)」をイメージして作られたブレンドで、ナギナタコウジュ、ラベンダー、カキオドシ、オレンジピール、抹茶が使用されています。
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飲みやすくすっきりとした飲み口でした。

あと妻は、食事の内容に合わせてハーブティーを出してくれるペアリングをお願いしています。

ハーバルセラピストが厳選したハーブティが3杯ついて1,650円です。
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最初はワイングラスで。エルダーフラワーのエキスを炭酸で割ってあります。

少し甘めの食前酒的な位置づけ。
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2杯目はラベンダーとレモンバーベナ。すっきりとした飲み口です。
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3杯目はレモングラスとクロモジ。こちらもすっきりとした飲み口でした。

以上が出されたものすべてとなります。
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スタッフが多くいて、フレンドリーな対応、そしてサービスも行き届いていました。気持ちよく食事ができたと思います。

そして景色がご馳走だと言われれば、こちらのレストランは料理はある意味脇役かもしれません。ご馳走様でした。

The Kitchen
富山県中新川郡立山町日中上野57-1
 Healthian-wood (ヘルジアン・ウッド)内
TEL 076-482-2536
11:00~15:00(L.O.14:00)
第3水曜休
年末年始、冬季休業あり


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