9年前に福岡にいた時は、警固の国体道路沿いのマンションに住んでいました。
前回、その住んでいたところの周辺を散策してきたことは少し前に書きましたが、今日は夜食事をしたお店を紹介したいと思います。
さて福岡といえば、玄界灘を臨む土地柄、新鮮な海の幸を楽しむことが出来ます。
そんな福岡の鮨屋の特徴の一つが、おまかせで入ると鮨の前におつまみの料理が多く出されるということです。
なので、ついつい酒を飲み過ぎてしまうということです。^^;
江戸の昔は、江戸っ子は鮨屋で飲みすぎるのはあまり粋じゃないと言われていたようですが、さすが九州!酒を愉しむための鮨店なのですね。お店によっては握りよりおつまみ・料理の方がボリュームがあることもあります。
ちなみに私のブログで、過去に石川・大阪・福岡の鮨についての考察を書いているので、興味のある方はそちらの方も参考にしてほしいと思います。
さて本題です。福岡で夜食べに行ったところは、薬院にある「鮨 巳之七(みのしち)」という比較的新しいお店です。
当然私が福岡に住んでいた時はまだなかったお店です。
福岡では、昔は何らかの一仕事をした鮨を出すお店が少なかったのですが、最近は普通にあって、見つけるのに苦労しなくなりました。こちらの「鮨 巳之七」もその一軒です。
外観は鮨屋とはわからない作りで、暖簾もありません。ラウンジと間違えてもおかしくないかもしれません。お店の小さな看板のようなものに灯りが付いたら営業開始です。
我々は事前に予約を入れて、オープン時間の18時にお邪魔しました。
カウンターのみの8席。カウンターは少し角度が付けられています。
寿司置きの盛台は有田焼。このような模様のそば猪口が我が家にあります。
超太い山葵です。
コースはおまかせで1万円でした。
ご主人の実家が中洲で鮨店をやっていたようです。お店はご夫妻で切り盛りされていて、ご主人は花のお江戸で修業されています。
そのうちの一軒が下高井戸の「旭鮨」。他にも修業されていた鮨店もあって、そのため鮨は江戸前風の何かしら仕事がされている握りです。
このお話の後、金沢の鮨店のお話で盛り上がりました。色々行かれているようで勉強熱心な方でした。昔アパホテルにお店があったときの「小松弥助」に食べに行って「旭鮨」で修業させてもらっていると話したら、わざわざ森田さんが店まで食べに来てくれたことがあるそうです。
それでは本題です。先ほど書いたように、おつまみ系の料理が最初から続きます。
おつまみ系は、和食の基本を意識している形で、揚げ物や蒸し物なども出されます。
まずは相当歩いてのどが渇いていたためハートランドの生ビールで乾杯です。
最初に小石原焼のお皿に盛られて出されたのは、ホタルイカ。福岡の地酒「繁桝」の酒粕で作ったソースがかけられていて、脇にはワサビの葉と茎が添えられていました。
ほんのり酒の匂いとワサビのピリッと心地よい辛みを感じながら楽しむことが出来ます。
その後、刺身が何種類か出されます。
醤油をつけるのではなく自家製の煎り酒で食べます。珍しいですね。
こちらは福岡県産のヤヒロという一般的にはヒラスズキと呼ばれる魚。
噛むと弾力がありながら熟成されたうま味を感じる魚でした。
寿司置きの盛台は有田焼。このような模様のそば猪口が我が家にあります。
ヒラメです。色々な部位を少しずつ切り分けてあります。
手前に見えるのが脂がのっている部分です。食感と脂ののりの違いを楽しめました。
こちらは鐘崎漁港の宗像あなご。脂がのっていてとても美味しかったです。
上に乗せられているのは、ナマコの卵巣「このわた」と貝ワタで作られた塩辛のようなもの。粋な組み合わせでした。
こちらは佐賀のミルガイと「なの」のアオサにダシ酢をかけてあります。
「なの」と聞きましたが「那の川」?「那の津」?のことでしょうか??
お次はワタリガニと佐賀ウニを少量の酢飯の上に乗せてあります。
これをかき混ぜて食べると、カニとウニのうま味がハーモニーを奏でます。
こちらは天然の12kgのヒラマサに、香ばしくて少し甘辛い焦し胡麻だれがかけれてあります。
ヒラマサも締まった食感を楽しめる身と脂が乗った腹の部分で味の違いを楽しめました。
揚げ物は福岡産のオコゼの唐揚げ。
蒸し物は牛スジと梅干の茶碗蒸しでしたが、私は肉が苦手で、こちらも少し食べましたがダメで、妻の胃袋に消えました。^^;
ここから握りに移ります。
と、その前に。これだけのおつまみ系が出されるわけですから酒が当然進むわけです。飲んだ日本酒について握りの紹介の前に書きます。
生ビールの後に飲む酒は、ご主人にお任せしました。これから出される料理に何が合うかは聞いたほうがいいと思ったからです。
最初は福岡の寒北斗酒造の「30VISION壽限無超辛口純米無濾過生原酒」です。
麹米を45%まで磨きこんだ大吟醸の磨きです、
名前の通り超辛口でしたが、スッキリ切れの良さでこれから暑くなる季節にいい酒のような気がしました。
お次は久留米の山の壽酒造が出している福岡県内限定ブランド「山の壽 万作」の純米吟醸です。
こちらも辛口の酒でした。
こちらも辛口の酒でした。
最後は同じく福岡の若波酒造の「蜻蛉(とんぼ)」特別純米酒の季節とんぼで黒とんぼと言われている酒のようです。黒とんぼなのでラベルの文字も黒!読めません。^^;
無濾過原酒で爽やかな香味と素直なうま味がいい酒でした。
さて握りの紹介です。で、この時点で飲み過ぎたためと、2軒目にもう一軒行きたいお店があったので、このあたりでお酒をストップして私は握りは純粋にそれだけで楽しむことにしました。
シャリは少なめで握られています。まぁ、確かに握りに移るまでに相当飲み食いしているのでちょうどいい具合です。
最初は福岡産のヤリイカ。こちらも色々な部位で食感の違いを楽しませてくれました。
「元寇(げんこう)」という、玄界灘に浮かぶ「馬渡島(まだらじま)」で見つかった固有の品種の香酸柑橘を搾ってあります。乗せられている黒めの小さな粒は朝倉山椒。ピリッと舌に刺激が心地よい風味付けでした。
こちらのサヨリはひとひねりしてまかれています。
アジは生姜醤油がテッパンですね。
身が締まった赤貝。きれいな色です。
マグロは上品な脂身の中トロと、
赤身はヅケで。
いいマグロでした。
こちらはウニとイクラのミニ丼ぶり。
ここでご主人が車海老を炭火で炙ります。
まずは頭を網に乗せて。こちらは少しあとで出てきました。
身は軽く炙り握りにします。ミソは生のままでシャリとの間にいれられています。
レアな感じで温かいうちに食べると、甘みとうま味が口の中に広がります。食感もこれまで食べたことがないような感じ。なかなかです。
ここでお味噌汁も出されます。具の豆腐にも下処理がされているような気がしました。
対馬産の穴子を使った煮穴子。
私の好みのそれほど甘くないツメが塗られていました。
そして最後の玉子が出されて締めです。
ちなみにこちらのお店のガリはこの時期の新生姜を使用して作っていました。
こちらも口に中をリセットするのによかったです。
以上、飲み食いして2人で3万円弱。納得のコスパでした。
品数・量とも多く、さすがにお腹も満腹になりましたね。しかし、きめ細やかな仕事ぶりを感じさせてくれる品々。味も含めて満足度は高いです。
お店を出ていくとき、ご主人と奥さまが見送りに出てくれました。もう一度来たくなるお店の一軒です。ご馳走様でした。
鮨 巳之七(みのしち)
福岡県福岡市中央区薬院2-18-13
TEL 092-716-2520
18:00~22:00
コメント