江戸前の握りと言っても、赤酢まで使用した握り寿司を食べさせてくれるところは、石川では意外に少ない。

赤酢も確かに好みの分かれるところかもしれないが、江戸前と謳うならば、赤酢の握りでなければ!という人も多いだろう?
こいずみ

今日紹介する「鮨処 こいづみ」は、片町に昨年7月にオープンした。ご主人の小泉さんは、東京九段下の老舗寿司店「寿司政」や銀座の名店などで働いておられたようだ。

私も「寿司政」の近くをいつも通るので、今度行ってみたいと思う。
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さて、石川県では新鮮な魚介が手に入るが、やはり、小泉さんとしては江戸前に徹底してこだわりたいということで、いわゆる江戸前風の細工寿司とは一線を画する本物の江戸前鮨で勝負したいと思っているようだ。

金沢に店を構えることにしたが、石川には縁もゆかりもないそうで、お店の内装を決めるときも、「施工業者に、地元の素材を使ってくれとだけお願いした結果がこのようになったので、私はわかりません!」と話されていた。確かに、内装は若干一体感がないかもしれない。^^;
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ご主人の右後ろに見えるのは黒漆塗に蒔絵が施された板。輪島塗だと相当お高いはずだが、山中塗かな?
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あと、壁の至るところに、県産の軟石(戸室石?日華石?など)や、田鶴浜の建具に使われる組子細工などがはめ込まれている。お金がかかっているつくりだ。

お店はカウンター7席と、別にテーブル席、個室もある。

大将お一人で鮨を握っているので、基本お任せになっている。しかしご安心を!非常に良心的な設定価格になっているのがうれしい。
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まずは私はビールで、妻は最初から日本酒を頼んだ。
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銘柄は、宗玄純酔無垢と天狗舞五凛でともに一合1,000円。あと1種類何か飲んだと思うが忘れてしまった。
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そしてまず出されたのはお刺身。この日はキジハタとスズキ。お皿に乗せられているのは岩塩の板である。そこにスダチを絞って、キジハタとスズキの身を岩塩の上で滑らせながら食べるという、一風変わった出し方をしてくれる。

粉砕した岩塩で刺身を食べることよくあるが、こんな食べ方は初めてだ。
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こちらは「鯛の酒盗にマスカルポーネチーズ添え」。酒盗に鯛を使うのも珍しいし、発酵食品同士の相性もいい。
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お次は、イワシを山わさびで食べさせてくれる。「山わさび」洋名ではホースラディッシュ。別名では「畑わさび」「ワサビダイコン」「レフォール」「西洋わさび」などと呼び方は様々であるが、鼻にツンとくる心地よい辛味が新鮮なイワシの旨みを引き立ててくれる。
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ゲソも同じく山わさびで食べる。

これでおつまみは終わり。

これから握りに移る。江戸前なので何らかの仕事が施されているので、醤油をつけずに食べる握り。私の好きな寿司である。
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まず出されたのは、イクラとウニ。北海道から取り寄せている塩水ウニがいい。
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サワラは、石川でいうカジキマグロではなく、鰆のほう。
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こちらは、八時間酢につけて締めたキスだそうだ。

お聞きすると、本当は一番食べてもらいたい店自慢の江戸前握りの「コハダ」がこの日は手に入らなかったようで、代わりいったらなんだが光物として出された。赤酢のシャリとの相性が抜群にいい!それに赤酢を使ってシャリの甘さを抑えているので、特にそう感じる。

寿司政といえば、コハダとシンコといわれるお店なので、 食べたかったな~!
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舞鶴で水揚げされたマグロの早漬け。

オニエビ(イバラモエビ)は写真を撮り忘れた。甘くて旨味があり食感もねっとりして美味しかった。
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こちらの中トロも大トロに近い。
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玉子も熟練のおいしさで、海老の風味がほんのり。大和芋?で食感もよく美味しい。
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これも江戸前握りの代表格「煮ハマグリ」。ご主人の仕事の確かさがわかる逸品で、煮る技も必要だし、ツメの味も素晴らしい。
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口直しに水ナスが出される。
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そして煮アナゴ。口の中ですぐに崩れて溶けるほど。
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最後は、かんぴょう巻。かんぴょうの甘辛い煮塩梅もいい。
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お吸い物は、しじみの煮汁のみのものが出される。サッとひと煮立ちしただけだが、上品な旨みが胃にしみるおいしさだ。

お酒も2人で3杯ずつ飲み、締めて一人12,000円強。なかなかコスパ的にも良かった。

何はともあれ、かたくなに江戸前本来のおいしさにこだわった寿司を、この石川の地で食べることが出来るのはうれしいではないか!?

そうそう!ガリもおいしく何度もお代わりをしてしまった。こちらも余分な甘さがないのがいいのだ。

見た目とは違って、なかなかお話好きのご主人。色々お話をお聞きしながら寿司をつまむのも格別だ。また行きたいお店の一つである。ご馳走様でした。

鮨処 こいづみ
石川県金沢市片町2-30-9
 大井ビル1F
TEL 050-5590-3349(予約専用)
076-254-5355(問合せ専用)
17:30~23:00(L.O.22:00)
日・祝休


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